2025年(令和7年)3月15日(土曜日)
北海道住宅通信に
藤城建設のウチリノベの記事が掲載されました。
リノベ専用ブランド「ウチリノベ」スタート
藤城建設 新築より安く新築以上の性能へ
藤城建設(札幌市)はリノベーション専門プランド「ウチリノベ」を立ち上げ、1棟目となるリノベーションモデルハウス兼ショールーム(石狩管内当別町太美)を2月22日に公開開始した。
同社の高断熱・高気密ローコスト住宅「ゆきだるまのお家」、平屋專門店「平家製作所」、北海道のロングライフデザイン住宅「NORTH L AND PRIDE(ノースランドプライド)」、分讓建売専門店「トチイエ」に続く、五つ目のブランド展開となる。これ まで手掛けた増改築や断熱改修工事のノウハウを生かし、新築以下の価格で新築以上の性能を追求しながら北海道の暮らしに寄り添うリノベーションを提案する。
北海道らしいレジリエンス性
同社では数年前からリノベーション事業のブランド化を検討していたが、「今回オープンしたモデルハウスの基となった既存住宅の取得を足掛かりに、工事先行でブランドを作り上げた」と川内玄太社長は語る。
購入した住宅は、築32年の延床面積113.44㎡(34.24坪)、木造枠組壁工法2階建。
既存外壁に充填されていた現場発泡ウレタンはそのまま活用。通気層を密閉して中の空気の断熱効果も生かした。既存のサイディングの外側にフェノールフォーム45mm厚を付加。室内側には密度16Kの高性能グラスウールを5mm付加し、「トリプル断熱」とした。
また、1階床も土台上に現場発泡ウレタンと一体になった床が構築されており、その上に押出法ポリスチレンフォーム30mm厚を敷き込み、防湿気密シートで覆ってフロア材を貼るなど、既存の断熱仕様を極力生かした。
さらに同社の新築標準仕様に倣い、窓はすべてトリプルガラス樹脂サッシに交換し、高断熱玄関ドアを採用した。換気は3種換気から1種換気の全熱交換型換気システムに変更。UA値は同社の新築の基準とする0.28 を下回る0.24を実現、C値は0.2を確保した。冷暖房は1階と2階に寒冷地エアコンを1台ずつ、リビングにペレットストーブを設置。給湯はエコキュートでスマート電化住宅とした。また、太陽光発電パネルを南面の壁面に4枚、屋根に12枚設置。合計7.12kWの発電容量で、冬季のペレットストーブ着火時に消費する電力は壁面太陽光で賄えると試算している。川内氏は「万が一の停電時も暖を採れる。北海道のリノベで叶えるレジリエンス性というのを示せたのでは」と話す。
今回は枠組壁工法だったこともあり、玄関横の既存トイレを移設した以外は既存の梁や柱を生かし、できる限りごみを出さない改修に取り組んだという。
「孫のため」が決断を後押し
ウチリノベは「実家リノベ」をキーワードに、「昔の家族の思い出を大切にしながら、新たな暮らしを創る」というコンセプトを掲げている。孫がいて築30~40年の住宅に住む祖父母世代がターゲットだ。
本来高齢者にとって、性能向上改修は自身の健康のためにも必要なはずであるが、自分たちのためのリノベとなるとなかなか重い腰が上がらない。しかし、古い家は寒い・広くて怖いなど幼い孫からは敬遠されがち。それを孫が遊びに来たくなる家、住み継ぎたくなる家に変える「孫目線」からのアプローチが決断を後押しするのではと同社は考えた。祖父母から孫、またその孫というサイクルがリノベーションを検討するのにも適している。家族の懐かしい思い出を残しつつ、最新技術で次々世代の新しい暮らしを叶えることを実家リノベの理想とし、提案する。
既存ストックを活かす選択肢
購入した既存住宅の取得費用は、土地、建物、諸経費込みで約380万円だった。リノベーションしたモデルハウスの販売価格(税込)は2980万円を想定している。同社のローコストブランドで同規模の新築を建てた場合、3450万円になると試算しており、500万円程の差が出る。川内氏は「価格面、性能面、エネルギー面でも新築以上のことができた。これを藤城建設のリノベの標準としていきたいと、事業化の手応えを感じている。
従来、多額の解体費用がネックになり既存住宅の建て直しを諦めたケースでも、ウチリノベを提案できることで施主にとって選択肢が増える。すでにリノベモデルの見学希望者やリノベーションの見込み客もいるという。
また、これまでも同社では年間1~2棟のフルリノベーションを手掛けてきたが、「3年以内に年間5棟を目指す。新築で年間600組の集客があるのに加え、ウチリノべで100組が目標。実現できたら分社化も見据えている」と川内氏は展望を語った。